能の演技
- Noh Performance Techniques
能の演技「型」
- 能の演技は「型」と呼ぶ
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リアリズム演劇ではない能は、演技において写実的な表現はしません。あらゆる動きは象徴化された「型」に集約されます。
「型」は、日常の動作を削りに削ったエッセンスのような動きです。
一つひとつに名称が付けられた「型」の連動によって様式美が描かれます。その演技表現は、観客の想像力によって一曲の完成へと到達します。僅かな表現は、観客の想いを駆り立て、登場人物の心情や心理を共有できる思考の源となります。
「型」いろいろ
- カマエ
- ハコビ
- スミトリ
- サシ込ミヒラキ
- シオリ
- ユウケン
- サシ廻シヒラキ
総合芸術である能は
「歌」と「舞」が
大本となる
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能一曲を演じることを「能を舞う」と言います。
能の演技は「所作」と「舞」に分けられ、いずれも「型」によって表現されます。リズム的音楽性を持たない、言葉に即した動きが「所作」であり、リズム感を持って無機的に一小節を演技することを「舞」と言います。「舞」は主に地謡によって謳われる部分と、囃子の演奏のみに合わせて舞われる部分があります。これらの役者の演技と地謡・囃子は相互関係にあり、能は総合的に作られます。
能は「歩行の芸術」とも称される如く「摺り足」で舞台を移動し、動作を行い、演技表現をします。その摺り足の美しさや力強さが、能の演技に求められます。