大槻能楽堂 OHTSUKI NOH THEATRE

能 面

  • 能 面

    Noh Masks
世界的に優れた彫刻
仮面を用いる演劇は、世界に多々あります。能も仮面劇です。
しかし、登場人物によっては能面を使わない場合もあります。
例えば、現在に生きている男性の役には能面は使いません。
女性役には必ず使われますが、これは古来、能楽師が男性に限られていたためです。男性であっても、老人、亡霊、神、鬼、天狗、特殊な性格をもった人物を演じる際には能面を使います。

能面は、大きくは20種類、細分化すれば約200種類に分かれ、
それぞれの演目の表現に合わせて作られます。

人の心の一コマを残し留めたのが仮面です。顔は心の表情とも言えます。しかし優れた能面は、一コマだけなく、人間そのもの、
いや人間以上に心を表します。
般若
嫉妬の苦しみ、その怒りを訴える女。心の奥にある怒りが角として生え、
耳まで裂けた口は怒を表し、しかし目は強い中にも悲しみを含んでいる。
人の複雑な感情を表す仮面
日本では、無表情な様子を「能面のように…」と喩えることがあります。

一見すると能面は無表情に見えるかもしれません。しかし、それは表情がないのではなく、さまざまな表情が織り込まれているのです。1時間、2時間にも及ぶ曲をひとつの能面で演じるには、ある表情だけに偏っていては成り立ちません。
能面にはさまざまな表現に耐えうることが要求されます。劇の進行に伴い、役者の演技表現によってあたかも命が吹き込まれたように、能面自体も能を演じます。

能面は、心理劇である能を演じる大事なパートナーなのです。
人の複雑な感情を表す仮面
日本では、無表情な様子を「能面のように…」と喩えることがあります。

一見すると能面は無表情に見えるかもしれません。しかし、それは表情がないのではなく、さまざまな表情が織り込まれているのです。1時間、2時間にも及ぶ曲をひとつの能面で演じるには、ある表情だけに偏っていては成り立ちません。
能面にはさまざまな表現に耐えうることが要求されます。劇の進行に伴い、役者の演技表現によってあたかも命が吹き込まれたように、能面自体も能を演じます。

能面は、心理劇である能を演じる大事なパートナーなのです。
  • 狂言の面
    洒脱感溢れる世界

    能の格調高さを180度転換した、
    面白さに満ちた狂言専用の面

骨太の尉面、
可憐な童子などの男性面

  • おきな
    『翁』
    はくしきじょう
    白式尉
  • 祈りの能である『翁』のシテ翁は「白式尉」を用いる。この面を付けることによって神の神格を得、五穀豊穣を祈り、人々に祝福を与える。白式•黒式ともに口の横から切り離され、紐でつながれた「切り顎」になっているのが特徴。

骨太の尉面、
可憐な童子などの男性面

  • おきな
    『翁』
    こくしきじょう
    黒式尉
  • 狂言方の演じる三番三(叟)は「黒式尉」を用いる。翁同様、はじめは直面で揉之段を舞い、この黒式尉を付けて鈴之段を舞う。翁が祈った五穀豊穣を、地固め、種蒔きと具体にして見せる。

骨太の尉面、
可憐な童子などの男性面

  • さんこうじょう
    三光尉
  • 老人の男性面で、数多くの種類があり、 少しずつ様式が変わっている。神の精霊として現れたり、老木の精として登場する。修羅物では武将の化身として苦悩を語ったり、現実の老人の役などにも使われる。

骨太の尉面、
可憐な童子などの男性面

  • ちゅうじょう
    中 将
  • 「中将」の面は、源平の武将の霊に着けるやや険しい表情のものと、大名や公家に着ける品位の高い穏やかなものが代表的。流用されることが多く、さまざまな曲に用いられる。

骨太の尉面、
可憐な童子などの男性面

  • どうじ
    童 子
  • 少年の面であるが、人間というより妖精的、精霊的である。神秘性を持った永遠の少年の感が漂っている。

骨太の尉面、
可憐な童子などの男性面

  • やせおとこ
    痩 男
  • 頬骨が浮き上がった造形で、力が弱りながら執念の一途で現れた様相をしている。現世の罪で地獄に堕ち、救いを求めて現れ出でる男の亡霊の面。

骨太の尉面、
可憐な童子などの男性面

  • へいた
    平 太
  • 日焼けし、勇猛な源氏の武将の霊の面。平家の公達には「中将」が使われるのに対して、関東武士である源氏には勇ましい「平太」が使われる。

骨太の尉面、
可憐な童子などの男性面

  • かげきよ
    景 清
  • 景清は平家の武将で、悪七兵衛と名を残したほどの気骨ある勇猛な侍。源氏に敗れて日向国へ流され、盲目の乞食となって日々を暮らすところへ鎌倉から娘が訪ねてくる。再会と拒絶の複雑な心境を表現している。生きている男性の役であるが、「景清」と言う専用の面を使用。

繊細な表情を
必要とする女性面

  • こおもて
    小 面
  • 最も若い女性面。「小面」の「小」は小さいではなく、若さ、可憐さ、可愛さを意味する。

繊細な表情を
必要とする女性面

  • わかおんな
    若 女
  • 若い女性面の代表。美しい表情の中には苦悩と喜びという相反する感情が備わっている。

繊細な表情を
必要とする女性面

  • ふかい
    深 井
  • 人生の経験が深いという意味を持つ面。哀愁感を湛えている中年女性や母親役など、幅広く使われる。

繊細な表情を
必要とする女性面

  • うば
  • 年老いた老女の面。一般的な老女から100歳に及ぶ小野小町の役にまで使われる。

繊細な表情を
必要とする女性面

  • ぞうおんな
    増 女
  • 若い女性面であるが、他の面には及ばない品格の高さを持っている。女神や位の高い女性役に使用される。

繊細な表情を
必要とする女性面

  • やせおんな
    痩 女
  • 頬は深く痩せ落ち、怨念は相手に向けられるとともに、自虐的に苦しむ様を表している。主に亡霊の役に使用。

繊細な表情を
必要とする女性面

  • でいがん
    泥 眼
  • 嫉妬の憤りが次第に強まる状態の揺れ動く女性。眼と歯に金箔を施し、ただならぬ雰囲気、様相を呈している。

繊細な表情を
必要とする女性面

  • はんにゃ
    般 若
  • 嫉妬の極限の表情。堪えきれない恨みを抱き、調伏しようとしている相手に強烈に襲い掛かる。しかし、その中には悲しみも含み、皮膚感は人に近い柔らかさを持っており、単なる鬼ではない、人の悲しみを湛えている。

ルーツが古い鬼面
〜ある一面的表情を表現している〜

  • しかみ
  • 眉と眼は吊り上がり、牙をむき、陰性の増悪な生き物の造り。権力や体制に従わない者たちの役に使われる。

ルーツが古い鬼面
〜ある一面的表情を表現している〜

  • こべしみ
    小癋見
  • 口をへしみ、力を内へ引き込んだ、内側の力強さに溢れる面。褐色に彩色されたことで、よりへしんでいる力が強調される。地獄の鬼の役に使用。

ルーツが古い鬼面
〜ある一面的表情を表現している〜

  • おおべしみ
    大癋見
  • 金箔を塗り、口を大きく開き、スケールの大きな陽性の神に使用。威圧感、力動感に満ちている。

ルーツが古い鬼面
〜ある一面的表情を表現している〜

  • おおとびで
    大飛出
  • スケールの大きい陽気な神の面。全面に金泥が塗られ、大きく開けた口は威圧感があり、蔵王権現などの力強い神に使われる。

ルーツが古い鬼面
〜ある一面的表情を表現している〜

  • くろひげ
    黒 鬚
  • 龍神の役に使われる。このような彩色のものと、金泥が全面に塗られているものとがある。髭が黒々と力強く描かれ、水面や天地を素早く駆け回る龍を表している。

ルーツが古い鬼面
〜ある一面的表情を表現している〜

  • さんこうあくじょう
    三光悪尉
  • 「悪尉」とは、強く、恐ろしく、神懸かった力を持つ老人の面。大振りの造りに大きく開けた口、深い皺を掘り込み、威厳を醸し出している。「悪尉」には幾種類かあり、この面は三光坊という面打師が創ったため、「三光悪尉」と言う。

洒脱感溢れる世界
能の格調高さを180度転換した、
面白さに満ちた狂言専用の面

  •  
    女面
    おと
  • 醜女として登場することが多いが、
    なんとも愛らしい。

洒脱感溢れる世界
能の格調高さを180度転換した、
面白さに満ちた狂言専用の面

  •  
    鬼面
    うそふき
    嘘吹
  • 人間の血を吸う蚊や動物、神様のしもべなどがある。

洒脱感溢れる世界
能の格調高さを180度転換した、
面白さに満ちた狂言専用の面

  •  
    畜類面 猿
  • 子どもが演じるものから、大人が演じる猿の聟入りの祝宴などがある。

洒脱感溢れる世界
能の格調高さを180度転換した、
面白さに満ちた狂言専用の面

  • 神面
    だいこく
    大黒
  • (福の神)
  • 狂言の神仏面は、神格のものでもどこかユーモラスな一面が現れている。