ご挨拶・沿革

理事長挨拶

大槻能楽堂は、昭和10年に大槻十三によって創立し、昭和58年現能楽堂へ建て替え致しました。当時は初めての椅子席の能楽堂として、近代へ向っての斬新な試みでありました。その後、戦禍も免れ、大阪での能公演の殿堂として御愛玩頂いて参りましたが、令和元年、皆さまの御篤志を賜りまして、改めてリニューアル工事を施工いたしました。
大阪で唯一、三間四方の能舞台を持つ大槻能楽堂は、大阪の能楽を継承していく拠点として、後継者である若手が研鑽を積む稽古場として、非常に重要な役割を担っています。第1回世界無形文化遺産に登録された、能楽700年の伝統を守り、後世に引き継いでいくために、今後はより開かれた能楽堂として、関西の、日本の、世界の芸術の拠点として文化に貢献して参りたいと念じております。

公益財団法人 大槻能楽堂
理事長 大槻文藏

About Us

大槻能楽堂について

大槻能楽堂について

大槻能楽堂は第二次世界大戦の戦渦を逃れ、終戦当時大阪市内唯一の能楽堂として、大阪の能楽界と上方文化の向上に寄与してまいりました。様々な催しを開催し、大阪の文化に大きく貢献したとして、昭和31年11月に「大阪府芸術賞」を受賞。現在に至るまで大阪の能楽を継承していく拠点として、後継者である若手が研鑽を積む稽古場として、非常に重要な役割を担っています。
昭和58年、能楽堂建物は木造から鉄筋コンクリートへと改築しましたが、能舞台は当初のまま組み直し、能楽の音楽的特質を考慮して残響時間を約1秒に設定、照明設備は舞台天井への直接組み込みを行い、橋掛りの背景は大阪城のもっとも大きい石垣を実物大に写し取ったものにするなどの工夫を加えています。三間四方の能舞台を持つ能楽堂であり、桁行梁間とも5.7メートル、切妻造妻入、檜皮葺で、右手に地謡座、背面に後座を設け、左手後方に橋掛りが続きます。舞台四方の頭貫上に中世風意匠の蟇股を置き、虹梁絵様や頭貫木鼻に華やかな渦紋を彫るなど、材工ともに質の高い能舞台です。さらに舞台・鏡板の老松は日本画家・大塚春嶺(1861-1944)の揮毫となっています(能舞台の鏡板では唯一)。
以上のことから、大槻能楽堂能舞台は、登録有形文化財登録基準(平成8年文部省告示第152号の「造形の規範となっているもの」に該当するものと評価されました。さらに令和元年度から改修工事を行い、座席、照明、空調、バリアフリー化等、設備を一新し、多目的に使用できる施設となりました。

大槻清韻会能楽堂時代の写真

沿 革

大槻能楽堂は第二次世界大戦の戦禍を逃れ、当時唯一の能楽堂として大阪の能楽界・関西の文化の拠点として寄与して参りました。
能楽堂の辺り上町台地は、難波宮の跡地で、難波宮は前期(652年~686年)、後期(744年~784年)の二度にわたり都が敷かれた場所で、遺跡調査を行ったうえでの工事となりました。
昭和10年9月 故大槻十三が現在の地に「大槻清韻会能楽堂」として設立。それまで畳敷・升席が普通であった能楽堂を、五百席の椅子席にし、天井にシャンデリアを施し、二階にはレストランを設け通常営業を行うなど大変先進的な能楽堂であった
昭和23年5月 能楽堂が公共的役割を果たすことを目的に、財団法人となる(初代理事長・大槻十三)
昭和34年9月 客席・ロビー等大規模改修
昭和37年1月 初代理事長大槻十三 逝去
昭和37年2月 二代目理事長に大槻秀夫が就任
昭和55年12月 消防法の大改正・建物の老朽化に伴い、旧建物を残しての復旧は難しく、全面的建替えとして一時閉堂する。
昭和58年5月 大槻能楽堂 新装オープン。先代宗家観世元正氏の「翁」を皮切りにこけら落し公演が行われる
昭和59年4月 大槻自主公演能が始まる
平成3年12月 二代目理事長大槻秀夫 逝去
平成4年4月 三代目理事長に大槻文藏が就任
平成21年4月 「梅原猛の授業 能を観る」が朝日新聞出版から刊行
平成22年10月 大槻自主公演能が500回を迎え記念公演を催す。公益財団法人の認可を受ける
平成26年4月 能舞台が国の「登録有形文化財(建造物)」に登録される
平成28年7月 「世阿弥を学び、世阿弥に学ぶ」が大阪大学出版会から刊行
令和元年7月 第一期改修工事が始まる
令和2年1月 第一期リニューアルオープン。主に客席・ロビー・トイレ・外観が改修される

能楽とは

能楽は、700年という永きにわたり上演し続けている、日本が世界に誇る舞台芸術です。各時代の権力者の経済的支援と民衆の応援を受けて、その舞台生命を維持して参りました。そして、2001(平成13)年には第1回世界無形文化遺産に登録されました。能は「物語」の形をとっていて、いわば「演劇」です。歌と舞と音楽で構成されているので、1300年代からある「ミュージカル」と言ってもよいでしょう。テーマは、神仏への信仰、戦いの儚さ、乙女の恋心や女性の嫉妬、親子の愛情など実にさまざま。いつの世でも変わらない人間のドラマがそこにはあります。

能楽師紹介

  • 大槻 文藏
  • 大槻 裕一
  • 齊藤 信隆
  • 赤松 禎友
  • 上田 拓司
  • 上野 雄三
  • 山本 正人
  • 浦田 保親
  • 武富 康之
  • 齊藤 信輔
  • 水田 雄晤

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