頼政 ― よりまさ ―

  • 作者 世阿弥
  • 素材 『平家物語』巻4「橋合戦・宮御最後」
  • 場所 山城・宇治 京都府宇治市
  • 季節 初夏 5月26日
  • 時代 冶承4年(1180)
  • 演能時間 約1時間20分
  • 分類 2番目 修羅物

■登場人物

頼政

前シテ・・・里の老人

面:笑尉または朝倉尉、三光尉
装束:尉鬘・無地熨斗目または小格子厚板、水衣、緞子腰帯、尉扇

後シテ・・・源頼政の霊

面:頼政
装束:頼政頭巾・厚板・ 半切法被・紋腰帯・太刀・負修羅扇

ワキ・・・旅僧

装束:角帽子・無地熨斗目水衣・緞子腰帯・墨絵扇・数珠

アイ・・・宇治の里人

装束:狂言上下

■あらすじ

旅の僧が宇治の里に着き景色を眺めていると、老人が現れ所の名所を教え、平等院へと案内する。 扇の形に残されている芝の事を聞くと、源三位頼政が武運つたなく自害した場所であり、今日は丁度 命日にあたり、自分こそは頼政の幽霊であると名乗り消え失せる。 旅の僧はその後来た里人に頼政のことを詳しく聞き、哀れに思い霊を弔い読経していると、法体の身に甲冑姿 の老武者が現れ、高倉の宮を擁しての挙兵、宇治川を挟んでの決戦で平家に川を渡って攻められての敗退、 最後は平等院の芝の上に扇を敷き自害したことを語り、僧に回向を頼み草の陰に消え失せる。

■みどころ

文武に名高い頼政の最後の奮戦ぶりを描いた作品。修羅物であるが、修羅の苦患や心情を描くより、 合戦の描写に重点が置かれ、敵方の忠綱の活躍ぶりを客観的に生き生きと描いているのが 特徴である。 前場での所の名所教えでは歌人としての頼政、後場では老武者ながらに指揮官としての強さ、 文武両道にたけた武将である頼政をうまく表現している。

■ワンポイントアドバイス 

頼政は専用の面と専用の頭巾をつける。

■小書

各流ともナシ

■舞台展開

  1. 諸国一見の僧(ワキ)が都から南都への途中に宇治の里を訪れ。景色を愛で、里人が来るのを待つことにする。
  2. 里の老人(シテ)が現れる。老人は僧の求めに応じて宇治の里の名所旧跡を教える。
  3. 老人は僧を平等院へと案内する。僧は、扇のように取り残された芝を見て、尋ねる。老人は、昔、宮戦で負けた源頼政が扇を敷いて自害した所で、名将の古跡《扇の芝》だと語る。
  4. 僧は、文武に名を得た人でも儚いものだと傷わしく思い、合掌して弔う。老人は僧の弔いを喜び、今日がちょうど宮戦の日に当たると述べ、自分は頼政の幽霊だと名のり消えて行く。
  5. 里人(アイ)が現れ、僧の尋ねに応じて、頼政挙兵の経緯や宇治橋の合戦の様子などを語り、回向を勧める。
  6. 僧は頼政の霊を弔い、夢での再会を待つ。
  7. 法体の身に甲冑を装った姿で経を読んでほしいと言う老武者が現れる。僧は源頼政の幽霊だと認め、弔いにより成仏疑いないことを伝える。
  8. 頼政の霊は、宮戦の起こりから宇治川に陣を構えるまでの経緯、宇治川の橋合戦の様子、敵の武将・忠綱の攻め、対する防戦を仕方話で再現して見せる。
  9. 敗戦をさとり「埋木の 花咲く事もなかりしに 身のなる果は あはれなりけり」と辞世の句を詠んで、平等院の芝の上に扇を敷いて自害した自らの最期を語ると、回向を頼んで草の蔭へと失せて行く。

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曲目解説