善知鳥 ― うとう ―

  • 作者 不明
  • 素材 『今昔物語集』、「立山地獄説話」、『新撰歌枕名寄』「善知鳥説話」
  • 場所 前場 越中国・立山
       後場 陸奥国・外の浜
  • 季節
  • 演能時間
  • 分類

■登場人物

前シテ・・・尉
面:笑尉または朝倉尉
装束:尉髪、無地熨斗目、水衣、緞子腰帯、尉扇
後シテ・・・猟師の霊
面:痩男または河津
装束:黒頭、無地熨斗目、白縷水衣、緞子腰帯、羽蓑、善知鳥扇、杖、男笠
ツレ・・・猟師の妻
面:深井
装束:鬘、無紅鬘帯、摺箔、無紅唐織、水衣
子方・・・千代童
装束:縫箔、稚児袴、童扇
ワキ・・・旅僧
装束:角帽子、無地熨斗目、水衣、緞子腰帯、墨絵扇、数珠、男笠
アイ・・・所の者
装束:長上下

■あらすじ

そこはまるで生き地獄―。外の浜を訪れるついでに立山を訪れた旅僧が目にしたものは、地獄の有様だった。下山の途中、老人に呼び止められる。昨年秋に死んだ猟師の形見を、その妻子に届けて欲しいと頼む老人は、自らの衣の片袖をちぎり、これを証にと僧に託す。

外の浜に着き、猟師の妻子の元を訪れた旅僧。老人の片袖を渡すと、猟師の形見の衣とぴったり重なった。旅僧と妻子が形見を手向けて回向を始めると、猟師の霊が現れて、これまで生業としてきた善知鳥の殺生の様と地獄の責め苦の様相を現し、この苦しみから助けて欲しいと旅僧に訴えたかと思うと、どこかへ消え去った。

■舞台展開

  1. 旅僧(ワキ)の登場。陸奥国の外の浜を訪れるついで、越中立山に立ち寄ったが、 この世の地獄とばかりの有様に恐れおののく。
  2. 下山しようとする旅僧を呼び止める老人(前シテ)。外の浜へ行くなら、昨年秋に死んだ猟師の家を尋ねて蓑笠を手向けて欲しいと旅僧に頼む。形見の証にと、着ている麻衣の片袖を引きちぎって渡し、旅僧を見送り、どこかへ消え去った。
  3. 間狂言。旅僧が所の者に妻子の所在を尋ねる。
  4. 妻子の元を訪れた旅僧が、老人から預かった衣の片袖を渡すと、取り出した形見の衣と片袖がぴたりと重なった。驚き懐かしみ、その猟師の蓑笠を手向け、旅僧は回向を始める。
  5. 弔いの場に、猟師の霊(後シテ)が現れる。猟師に生まれ殺生に明け暮れた日々。こと親子の愛情が深いといわれる善知鳥の子ばかりを狩り続けたために、霊は我が子に近づこうとするが、その報いで近づくことができない。
  6. 猟師の霊は生業の善知鳥を追う様を見せ、冥途で化鷹となった善知鳥によって、雉となった自分が追い回され、地獄の責め苦を受ける有様を見せる。そして旅僧にこの苦しみから助けて欲しいと訴えたかと思えば、どこかへ消えてしまった。

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曲目解説