大原御幸 ― おはらごこう ―

  • 作者 不明
  • 素材 『平家物語』灌頂巻
  • 場所 山城国 大原寂光院(現・京都市左京区大原草生町)
  • 季節 初夏
  • 演能時間 1時間50分
  • 分類 鬘物

■登場人物

前シテ・・・建礼門院

面:若女
装束:花帽子、摺箔厚板、水晶数珠

後シテ・・・建礼門院

面:若女
装束:花帽子、白綾、紫水衣、水晶数珠、花篭

ツレ・・・後白河法皇

花帽子、白綾、指貫、単狩衣又は水衣、掛絡、水晶数珠

ツレ・・・阿波の内侍

面:小面深井
花帽子、摺箔、無地熨斗目、 (水衣)、数珠

ツレ・・・大納言局

面:小面
装束:花帽子、摺箔、無地熨斗目、 (水衣)、数珠

ワキ・・・萬里小路中納言

装束:風折烏帽子、厚板、白大口、単狩衣、男扇

ワキツレ・・・大臣

装束:洞烏帽子、厚板、白大口、袷狩衣、男扇

ワキツレ・・・輿舁

装束:厚板、白大口

アイ・・・供人

装束:狂言上下

■あらすじ

平家滅亡の際、入水したが源氏の武士に助けられた建礼門院は、仏門に入り大原の寂光院で、安徳天皇はじめ平家一門の冥福を祈って日々を送っている。初夏のある日、後白河法皇が訪ねてくる。法皇の尋ねに従って建礼門院は平家が滅亡した苦しみを六道の有様にたとえて語り、平家一門の人々の最期の様子を述べる。やがて名残もつきぬままに法皇が還幸され建礼門院は心寂しく見送る。

■小書

庵室留(観世)、寂光院(観世)

■舞台展開

後見によって大藁屋の堂に見立てた作リ物が出される。

  1. 後見によって寂光院・建礼門院の庵室に見立てた大藁屋の作り物が出される。
  2. 後白河法皇に仕える大臣(ワキツレ)が供人(アイ)を従えて登場。平家一門が早鞆の沖で悉く果てたこと、その時、建礼門院も身を投げたが助けられ、仏門に入り大原の寂光院で安徳天皇はじめ平家一門の菩提を弔っていることを述べる。この度、後白河法皇が大原に御幸され訪ねられる旨を述べ、供人に御幸の山道を整えるよう命じる。
  3. 建礼門院(シテ)、大納言の局(ツレ)、阿波の内侍(ツレ)の登場。人里離れた寂光院の佇まいを謡い、淋しい境涯を歎く。
  4. 建礼門院は、仏前に供える樒などを取りに、大納言の局と山へ出かける。
  5. 後白河法皇(ツレ)、萬里小路中納言(ワキ)の登場。都をあとにし大原へと到着する。寂光院の風情を感慨深く見渡す。
  6. 萬里小路中納言は庵室の内へ案内を乞い、内侍に後白河法皇の御幸を伝える。建礼門院が留守であることを聞き法皇に伝え、帰りを待つことになる。
  7. 山から建礼門院と大納言の局が戻ってくる。内侍は法皇に建礼門院の帰りを伝えた後、建礼門院に法皇の御幸を伝える。建礼門院は思いがけない法皇の御幸に昔を回想して涙を流し、山里までの御幸に感謝する。
  8. 法皇の問いかけに応じて建礼門院は、西海で平家一門が遭遇した苦しみを六道の有様にたとえて語り、教経や知盛の最期の様子、二位殿と入水した安徳天皇の最期の有様、自分自身も入水したが源氏の武士に助けられてしまった恥ずかしさを歎く。
  9. 何時までも名残はつきないまま還幸の時がきて、法皇が寂光院を出ていくのを建礼門院は心寂しく見送る。

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曲目解説