葵上 ― あおいのうえ ―(観世・宝生・金春・金剛・喜多)

  • 作者 世阿弥
  • 素材 『源氏物語』葵の巻
  • 場所 京都・左大臣邸・葵上の病室
  • 季節 不定
  • 時 平安時代
  • 演能時間 50分〜70分
    (公演により異なる)
  • 分類 4番目物 執心物

■登場人物

葵上
前シテ・・・六条ノ御息所の生霊
面:泥眼
装束:鬘・鱗文様鬘帯・鱗摺箔・黒地縫箔−腰巻・鱗文様腰帯・紅入唐織−壷折・鬼扇
後シテ・・・六条ノ御息所の怨霊
面:般若
装束:唐織を脱ぎ裳着胴となる・打杖
ツレ・・・照日ノ巫女
面:小面
装束:鬘・紅入鬘帯・摺箔・紅入唐織・白水衣・数珠・木綿襷
ワキ・・・行者・横川ノ小聖
装束:兜巾又は沙門帽子・大格子厚板・ 白大口水衣・ 繍紋腰帯・篠懸・刺高数珠・山伏扇・小数珠
ワキツレ・・・廷臣
装束:洞烏帽子・厚板・ 白大口・ 袷狩衣・男扇
アイ・・・大臣の下人
装束:狂言長上下

■あらすじ

左大臣の娘、光源氏の北の方(正妻)である葵上が物の怪に執り付かれ病に臥せっている。 医者にかかっても、加持祈祷をしても一向に良くならないので、朱雀院に仕える廷臣が、 梓弓によって亡霊を呼び寄せる呪術を持つ照日ノ巫女に命じ、物の怪の正体を占わせた。 すると、なんと源氏の愛人であった六条ノ御息所の生霊が破れ車にのって現れ、 愛を失った悲しみと恨みを葵上の枕元で責めさいなみ、幽界へ連れ去ろうとする。 急ぎ、下人を使い横川ノ小聖という行者を呼び寄せ、怨霊を追い払おうと祈祷を始めると、 鬼女の姿になった六条ノ御息所が現れ激しく争う。六条ノ御息所はついに法力に祈り伏せられ、 ふと我に返って気付いた浅ましい我が姿を恥じ、最後は心を和らげ成仏する。

■みどころ

元・皇太子夫人である未亡人、六条ノ御息所。高貴な女性の嫉妬の執念が主題。 激しく醜い女の嫉妬に狂った姿であるが、気品漂うしっとりとした品位が要求される。
<枕之段>前半の終わりの部分で、シテの感情が高まり葵上の枕元へ責立てる部分。謡も舞も見所。
<イノリ> 後半の見所。怨霊と行者の争いのシーン。

葵上

■ワンポイントアドバイス 

<出小袖>葵上は登場せず、代りに舞台正先に折畳んだ小袖を置いて病に臥せる葵上を表現する。

■小書

梓之出 (観世・宝生・金剛・喜多)
無明之祈 (金剛)
空之祈 (観世)
小返之伝 (観世)

■舞台展開

  1. 後見によって舞台正面先に小袖が出される。病床の葵上である。
  2. 朱雀院の臣下が葵上の病状を語り、祈祷の為、巫女を呼出す。
  3. 巫女は梓弓を引き、霊を呼び出す。
  4. 破れ車にのった六條御息所の生霊と青女房が梓弓に引かれて現れ、この世を生きる辛さ、恨みを独白する。
  5. 巫女は怨霊を呼び寄せたことを臣下に伝え、臣下が名のらせると、怨霊は六条御息所の生霊と名のり、葵上への激しい恨みを告白する。御息所の姿も声も巫女にしか見えず、巫女よって御息所の言葉は人々に伝えられる。
  6. 恨みは極限に達し、御息所は青女房共々打ちすえ、なおも破れ車に葵上を乗せて連れ去ろうとする。
  7. 緊急の事態となり臣下は、比叡山横川の小聖を呼びに行かせ加持祈祷する。
  8. 呼ばれた聖が祈祷を始めると、鬼相と化した御息所が再び現れ、聖と激しい争いとなる。
  9. 調伏された御息所は、我が身を恥じつつも、成仏の身となった事を喜び失せる。

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曲目解説

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葵上 aoinoue