能楽事典[Encyclopedia]

専門用語専門用語

間狂言
あいきょうげん
能の中で狂言方が演じる役。間(あい)とも言う。
前場と後場のつなぎ役として出る語り間、
戯曲中に役柄として活躍する会釈間(あしらいあい)、
独立したものを挿入する替間など、種類がある。
扮する役は、所の者・太刀持・能力・船頭など様々。
(⇒本狂言)
相舞
あいまい
2人以上で同じ舞を舞うこと。
(例:二人静・小袖曽我・嵐山・鶴亀)
赤頭
あかがしら
赤く染めた長い毛の頭鬘。材質は舎熊。量は多く腰下まである。
ほんの少し白い毛が交じっており差毛(さしげ)という。
但し、赤のみの場合もある。(⇒白頭 ⇒黒頭)
揚幕
あげまく
舞台へ登場するための入り口になる所(橋掛の端)
にある5色の幕。
居語
いがたり
語り間の1種。舞台中央で座ったまま物語のみを行う間狂言。
居グセ
いぐせ
クセという章節をシテが座ったままでする時の呼び名。

おうぎ
能では登場人物のほとんどが扇を手にしている。
太刀・打杖など他の物を持つ場合などでも腰や懐中に持ってでる。
地謡や囃子方も扇を携帯して舞台へ臨む。
翁付キ
おきなつき
初番目物である脇能の前に翁を演ずる正式の番組。
原則として同じシテが続けて翁と脇能のシテを勤める。
現在では翁のみでも上演される。
送り込ミ
おくりこみ
間狂言が、前シテを幕まで連れて帰る所作。(例:天鼓
オロシ
おろし
舞の中の部分で笛の旋律や囃子が少し変化して
舞の動きが凝縮するところ。
少し緩む。
女修羅
おんなしゅら
女性がシテの修羅物。(例:
替間
かけあい
特殊な間狂言。独立した構成を持ち、
本狂言として上演されるものもある。
歌仙会
かせんかい
謡会の種類。歌の36歌仙にちなんで1日に
36番を謡う会をいう。
18番の場合は半歌仙。
(現在では番数に関係なく謡会を歌仙会と名づける場合もある)
片幕
かたまく
揚幕の片方(奥側)を少し寄せ、幕を上げずに使う。
囃子方・後見・語り間などの登場で片幕にする。
(⇒本幕 ⇒半幕)
勝修羅
かちしゅら
勝ち戦の修羅物。田村・屋島(八島)・箙の三曲。
(⇒負修羅)
鐘引
かねひき
道成寺の鐘後見。この曲のみ舞台中央に鐘を吊り上げ,
シテの鐘入りで綱を放し鐘を落とし後場で鐘をまた引き上げる、
非常に特殊な役。数人の助手をつける。
上掛り
かみかがり
観世・宝生。下掛りとは金春・金剛・喜多の三流。
上は京都、下は奈良。
都風・田舎風といったような芸統。
また謡の音程の上下からきた説もある。
芸風としては、上は謡、下は型に特徴がある。(⇒下掛り)
勧進能
かんじんのう
室町時代より、寺社建造費用を集めるため公許に
開催された能会。
着流シ僧
きながしそう
大口(袴の種類)をつけない僧姿。旅僧に多く、
大口僧より位が低い。
決り模様
きまりもよう
流儀によって曲ごとに扇や装束にきまりの模様がある。
観世の道成寺はしだれ桜に糸巻、下掛り3流は鶴菱など。
公達物
きんだちもの
シテが平家の公達である修羅物。(例:敦盛・経正)
後見
こうけん
登場人物の陰の補佐役。装束を直したり、作り物や小道具を扱う。
補佐役といっても監督も兼ね、シテに事故等があった場合即座に
代役を勤める実力が必要とされる。三役(ワキ・狂言・囃子)も、
それぞれ後見が出る場合もある。
小歌
こうた
室町時代の俗謡を取入れたリズムも詩章も特殊な部分。
(例:花月・放下僧
小謡
こうたい
謡曲の一節を謡う、短い謡。
小書
こがき
特殊演出。曲目に小さく書き添えるのでついた名称。
小書の無いものより位が重くなる。
面や装束がかわったり、型や囃子がかわったり、
省略されたり、曲によって様々。
五番立
ごばんだて
1日の演能形式。江戸式楽時代によく行われた。
神男女狂鬼の五番を順番に上演。
昔は翁付キと最後に祝言をつけ、7番能もあった。
現在では五番立も稀である。
小町物
こまちもの
小野小町が主人公の曲。若い頃の草紙洗小町・通小町(ツレ)、
百歳で落ちぶれた老女として描かれる関寺小町・鸚鵡小町・
卒都婆小町の5曲。
三鬼女
さんきじょ
角のある般若面を使う道成寺葵上安達原の3曲。
三修羅
さんしゅら
修羅物で位の重い曲。頼政実盛朝長の3曲。
三卑賎
さんひせん
魚鳥殺生の罪穢れを主題とした鵜飼・善知鳥阿漕の3曲。
シテは猟師や漁夫。
三婦人
さんふじん
鬘物で品位のある重い曲。定家・楊貴妃・大原御幸の3曲。
三読物
さんよみもの
木曽の願書・正尊の起請文・安宅の勧進帳。
漢文調の詩章で特殊な技巧が必要とされる重習(おもならい)。
三老女
さんろうじょ
能の中で最も秘曲とされる、関寺小町・檜垣・姨捨の3曲。
芸格や年齢が伴わないと上演は許可されない。ただし、
金剛流では関寺小町・鸚鵡小町・卒都婆小町をいう。
仕舞
しまい
能の型所である1部のみを地謡と紋付袴で演ずる簡易形式。
クセ・キリ・段・道行。
下掛り
しもがかり
上掛りに対して、金春・金剛・喜多の3流。
ワキ方宝生流は金春の芸統に属し、
下掛り宝生流と呼ばれる。(⇒上掛り)
祝言能
しゅうげんのう
1日の公演の最後にするめでたい曲。(例:猩々・石橋)
序破急
じょはきゅう
能の演出や構成における基本的な理念。初めはゆったりと序、
展開部分として破、最後に勢いのある変化を加え急,
1曲全体でも、1足1句の運びまでに至っても
盛り込まれている理念。
素袍男
すおうおとこ
素袍という衣装を着る庶民の男性。ツレ・ワキ・ワキツレに多い。
段物
だんもの
謡曲の中から特定の1部。独吟・仕舞・一調を
演奏する部分として定められている。
その部分だけでまとまりがあり1曲の中でも見所
となる1段。特殊な構造で内容も濃く、型も派手。
(例:海士−玉ノ段・葵上−枕ノ段・芦刈−笠ノ段)
附祝言
つけしゅうげん
1日の催しの最後に祝言能の替りに、
めでたい曲の最後の一節を地謡が謡う慣習。
同山
どうやま
安宅」で大勢出るツレの同じ山伏のことを略して呼ぶ呼び名。

とめ
1曲の終了部分。シテが留拍子を踏むものが多い。
最後という意味でも使用される。
中入
なかいり
前場・後場のある複式能で、前後の間に登場人物が
楽屋に退場すること。

のう
発生当時は「猿楽の能」江戸の式楽時代は「お能」
明治以後は「能楽」といわれる。
能力
のうりき
寺に使える雑用係のような男性の役柄の呼称。
会釈間(あしらいあい)の1種。
袴能
はかまのう
面・装束をつけずに、紋付・袴で能を演ずる形式。
白式
はくしき
特殊演出。常の装束ではなく、全てを白一式かまたは
白地に金銀模様とする。 清高な品格が出て演出の位が重くなる。
(例:翁・三輪・船弁慶
運び
はこび
運歩。足の運び−歩行のこと。摺足をするが、
役柄・心持によって変化する。
能は足行芸術とも云われる程、足の運びを大切にする。
半能
はんのう
前後場がある曲の、後半のみを演ずる上演形式。
祝言能は半能形式になっている。
半幕
はんまく
重い曲や特殊演出で揚幕の裾を巻き上げ下半分のみを見せる。
1度降ろして改めて本幕にしてシテが登場する。
(例:船弁慶−小書)
日数能
ひかずのう
何日間も続けて開催される能会。
直面
ひためん
登場人物が面をつけず素顔であること。
素顔をひとつの面として捉え呼ぶ名称。
もちろん化粧もせず、表情も作らない。
平物
ひらもの
重習とされている難しい曲ではないもの、または、
小書(特殊演出)のつかない能や謡のことをいう。(⇒習物)
仏倒れ
ほとけだおれ
型の名称。身体をまっすぐにしたまま仰向きに倒れる型。
枯木倒れともいう。
本幕
ほんまく
登場人物が舞台へ出入りする時,揚幕を上まで全部あげること。
本面
ほんめん
創作者の真作で(オリジナル)、
各流儀に伝承される典型となる能面。
模倣され生産されたものは写しといったりする。
本脇能
ほんわきのう
正式な脇能。道明寺・輪蔵・富士山・岩船は除く。
僧ワキの場合翁付キにはならない。
面当
めんあて
面の裏につける当て物。芯は綿で枕型。
面の付け具合を良くし、発声もし易い。
面箱
めんばこ
面を入れる箱。翁では特別に舞台に面箱ごと出し、
舞台で面をつける。
申合せ
もうしあわせ
リハーサル。事前に各役が全員集まり予行演習をする。
装束をつけないことも多い。
物着
ものぎ
能の途中に舞台上で装束を付けかえること。
ほとんどは後見座で後ろ向きに行う。
物着セ
ものぎせ
装束を付ける役。今は後見が着せるが、昔は専門で物着方がいた。
弓矢立合
ゆみやたちあい
儀式としての舞。江戸時代初期の立合能で
3流の太夫がそれぞれの流儀で舞う。
四座
よざ
大和猿楽の4座。金春・金剛・観世・宝生。
喜多は座を持たず1流といわれた。
両ジテ
りょうじて
ツレがシテと同じ重要度の場合、
同格に扱う時の呼び方。
(例:二人静・蝉丸

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